テミン(SHINee)が1stソロアルバム『TAEMIN』をリリース。 「僕だけの色を見せられる音楽とステージを見つけたい」
写真・小笠原真紀 文・酒井美絵子
インタビュー開始前に、東京・下町発の有名な大学芋のお土産を渡すと、嬉しそうに「うわ~、食べてもいいですか?」。もちろんです、召し上がってください! と答えるとさっそくパクリ。「大学芋って、韓国にもあるんですよ。コグママッタンって言うんです。(ホフホフしながら食べて)わぁ、同じ味! おいしいですね」と天使のような笑顔を見せてくれました。大学芋の甘い匂いとともに、インタビューのスタートです。
――現在、日本のツアーの真っ最中。日本各地のおいしいものは食べられましたか?
はい! 今までけっこうたくさん日本の食べ物は食べてきたと思うんですけど、今回まだ食べたことのなかった食べ物にも出合えました。例えば広島のぶりしゃぶとか、石川のカニしゃぶとか! しゃぶしゃぶって、いろいろな種類があるんですね。
――初めて訪れる都市も多かったのでは?
そうですね。それぞれの都市の違いや雰囲気を感じたくて、ライブ終わりにはホテルの周りを散策したり、街巡りをしたりしました。広島では路面電車に乗ったんですよ! お祭りにも行って。初めての経験をたくさんできました。次は、ゲレンデに行きたいです。もうすぐ冬ですし。富士山もずっと登りたいと思っているんですけど、今年行けなかったのが残念だったんです。来年は絶対、富士山の頂上で日の出が見たいです。
――3000m級の登山、大丈夫そうですか?
(胸を張って)僕は大丈夫です! 体力には自信がありますから。ただ、スタッフさんたちは……(と、周囲をちらりと見て)どうかな?(笑)。
――ツアーも残すところ、あと3公演。意気込みを教えてください。
まずはファンのみなさんに感謝の気持ちを伝えたいです。幸せな思い出をたくさん作ってくださってありがとうございます。これからもみなさんと一緒にこのような時間を作っていけたらいいなと思っています。ファンのみなさんとはもちろん、周りのスタッフさんやダンサーさんとの絆も深くなったツアーだったんです。あと3公演も大切にやっていきたいです。
――11月28日にリリースされる1stソロアルバム『TAEMIN』についてお聞かせください。
日本で初めてのフルアルバムなのでいろんなことを意識して作りました。今までみなさんにお見せしてきたテミンを含め、“今のテミン” に一番近い姿を見せられるアルバムだと思います。だからタイトルも『TAEMIN』です!
――アルバムのために、6つの新曲を、新たにレコーディングしたそうですね。
「MARS」は、「ライブで、ファンのみなさんと一緒に共感しながら歌える曲があったらいいな」という思いから選んだ曲です。「誰もいない宇宙に一緒に行ってデートしよう」という内容で、振付もステージでファンのみなさんとデートをしている感じをイメージして作りました。「HOLY WATER」もライブで歌うことを想定して作った曲です。今回のツアーでは、この曲で「ファンのみなさんと一つになりたい」と思って、曲の途中、一緒に手を前後に振る時間を作りました。みなさんがちゃんとついてきてくださったので、よりかっこいい曲に昇華したと思います。
――リード曲「Under My Skin」については、いかがですか?
この曲は、初めて聞かせていただいた時、今とは少し違う、もっとゆったりとした雰囲気の曲だったんです。でもメロディラインは気に入っていたので、その部分は活かして、ちょっとアレンジを加えて今の形になりました。歌詞は、僕が伝えたいキーワードを盛り込ませてもらって。
――伝えたいキーワードとは?
誰にでも、辛い時ってありますよね。でも考え方を変えてみると、辛い時というのは「光を見つけられる時」でもあると思うんです。それを僕も感じたことがありますし。そういうメッセージや、「ファンのみなさんやSHINeeのメンバーが、僕にとっては光のような存在なんだ」という気持ちを込めたいと作詞家さんにお願いをしました。
――歌詞には「本当の僕」とありますが、「本当のテミンさん」を何かに例えるとすると、何だと思いますか?
例えば動物だとしたら……うーん、イルカです。イルカって自由でフレンドリーで幸せなイメージがあるじゃないですか。僕も、イルカのようにみなさんに幸せを伝えられる存在になりたいなって。希望ですけど。
――では、色で例えると、どんな色ですか?
SHINeeって、パステルカラーのイメージですよね。メンバーみんながいろんな個性や魅力を持っているので、それぞれの色のパステルカラーだと思いますが、僕個人で言えばパープルかなと。
――おお! 妖艶でセクシーな色! ぴったりだと思います。
(笑)。というよりも、一般的な色ではないとか、人と少し違う、という意味でパープルだと思います。
――「Under My Skin」のMVは、日本で撮影されたそうですね。
今まで日本でリリースした楽曲のMVは、スタジオの中で撮影したりCGを使ったりするものが多かったのですが、今回は初めて外に出てみました。海岸での撮影でしたけど、天気も良くて、海辺の砂が自然に揺れる風景が素敵で、いい映像になったと思います。
――撮影はどうでしたか?
自然の中にひとりぼっちでいる寂しさを、海辺を歌いながら歩くという動きで表現してみました。でもその時、風がかなり強く吹いていて、せっかく髪をセッティングしてもらったのにぐちゃぐちゃになってしまったんです。すごく困ったんですけど、まあそれも自然な姿として見ていただけたらと思います。
――風になびく髪も見どころ、と。
なびきすぎなんですけどね。(笑)
――レコーディングで特に意識したところはどんな点でしたか?
今回のアルバムはポップなジャンルなので、ストレートな歌い方で歌うようにしました。遠くのみなさんに届くような歌い方を意識したので、それが伝わったらうれしいです。実は、最近はダンスよりも歌に集中しているんです。ハッキリ言えば、「もっと歌が上手くなりたい」と思っていて。今、勉強中です。一番意識したのはやはり、日本語の発音です。発音は、いつも本当に難しくて……。
――いやいや、母国語ではないことを感じられないくらい、スッと耳に歌詞が入ってきましたよ。
本当ですか? ファンのみなさんは、僕の発音が少し間違っていても喜んでくださいますが、TAEMINをよく知らない人にはやっぱり正確な発音でなければ伝わらないので、その点に関しては厳しくやらなきゃなと思っています。
――テミンさん、自分に厳しすぎ……。
これは、性格なのかなって思ってますけど(と言ってニコッ)。
――ダンスに関しても、いつも「これを極めたい」という気合を感じます。長い間モチベーションを保つのは大変ではないですか?
ダンスは僕が幼いころから好きな分野ですし、やればやるほどまだまだ知らないことが見えてくるので、おもしろいんです。小春さん(ダンサーの菅原小春さん)に初めて会った時も衝撃的で、もっと勉強しなきゃいけないなと思いましたし。これからも新しいジャンルのダンスを探してやってみたりしながら、新しい姿を見せていきたくて、日々悩んでいるんですけど……。難しいですよね。
――ダンスの表現力を磨くためにどんな努力をしていますか?
俳優さんでもいろいろな経験をするほど演技に深みが出るように、歌手もいろんな経験が必要だと思っているんです。実体験でなくても、映画を観たりすることも感情表現を勉強するのに役に立つんじゃないかなって。
――振付にも関心はありますか?
もちろんあります。実は以前、SHINeeの「Tell Me What To Do」という曲の振付に参加したことがあるんです。でもその時、「振付はやっぱり難しい」と思いました。自分に合わせて作るのはまだいいんですけど、メンバーそれぞれの魅力を引き出す振付を考えるのは本当に難しくて。
――その時、メンバーからは何と?
「テミンの考える振付は難しいんだよ! テミンだけができるじゃん!」って。(笑)
――(笑)。では、まずはソロ曲の振付から……。
あはは。そうですね。
――1stアルバムを完成させ、ご自身の中で“ソロアーティストTAEMIN”の特徴は見えてきましたか?
見えてはきたんですけど、それをもっと確固としたものにするため、スタッフたちとたくさん悩んでいます。いつかは“TAEMIN”の色が見せられる音楽、ステージを見つけたいです。
一問一答
音楽活動の話からちょっと離れて、短い質問をいくつかさせていただきました!
――最近めちゃくちゃ笑ったことは?
たくさんあるんですけど……(と話しながら、既に爆笑)。最近スタッフの方々と飲みに行って、3次会まで行ったんです。でもスタッフはみんな“おじさん”だから(笑)、次々と寝てしまって。それがおもしろかったです。もちろん、僕は最後まで起きていましたよ!
――直感型ですか? 熟考型ですか?
直感型です。例えば、ステージの上で新しいことを急に思いついて、その場でやってみたりすることも多いです。(ここで、隣にいたスタッフさんから「でも、やるって決めてから、そのあとで悩むことも多いよね」と言われ)あ~~! そうですね。やる、やらないはすぐ決められるけど、細かいところは人と相談しながら作り上げていくタイプかもしれないです。
――最近見た夢を何かひとつ教えて!
最近というか、ツアーの間はよくコンサートの夢を見ました。プレッシャーをすごく感じていて……。この前も、ライブ中にピアノの弾き語りを失敗する夢を見たんです。「みなさんごめんなさい、改めて弾いてもいいですか?」と何度も挑戦するんだけどやっぱり間違えてしまって。どうしようどうしよう、と焦っている間に目が覚めました。翌日のコンサートはものすごく緊張しました。弾き語りも無事に終わって、ホッとしましたね。
――世界で一番怖いものは?
(即答で)虫! 一番怖いし、嫌いです。なかでも一番嫌いなのは蜘蛛。なんか動きが…….(と本当に嫌そうな表情で)ネットで探すと巨大な蜘蛛とか出てきて。もう……(と首をブンブン振る)。あとはゴキブリとか、昆虫もダメです。蚊も殺せない……。なんだかかわいそうじゃないですか。だから、振り払っておしまいです。
――朝型人間? 夜型人間?
(即答で)夜型人間です。動画配信サイトを観ていると、次々と関連動画が出てきて、ふと「僕は何を観てるんだ?」ってなります。きりがないんですよね。最近は宇宙やUFOに関する動画とか、映画の紹介動画をよく観ています。
――1日だけ、誰か他の人になれるとしたら、誰になって何をしますか?
誰かなあ? 難しい……。僕のお父さんかな。どんなことを考えているのかが知りたいです。家族を支える責任の重さを感じてみたいんですよね。(「お父さんになって、自分のライブを観てみたら?」というスタッフの声に)お~~~~~! (ハイタッチしながら)天才! あ、それか、マネージャーさんになります。逆にマネージャーさんには僕になってもらう。それで、マネージャーさんがいつも僕に言っているみたいに「日本語、もっと勉強しましょう!」とか言いたいです(笑)。
Information
テミン 人気グループSHINeeの、圧倒的なダンスパフォーマンス力を誇る最年少メンバー。11月28日に、日本での1stアルバム『TAEMIN』をリリースする。初回生産限定盤(CD+DVD+撮り下ろしPHOTOBOOKLET)、通常盤(CD+撮り下ろしPHOTOBOOKLET)などがあります。