料理界の巨匠アラン・デュカス、悲劇からの復活と成功の秘訣

2018年10月17日 12時30分

エンタメ anan

いつの時代も女子たちを幸せにしてくれるものといえば、おいしい料理。とはいえ、私たちのもとに届けられるまでに、どれだけの努力が積み重ねられているかは、なかなか目にすることができないもの。そこで、世界最高峰の仕事ぶりの一部始終を見ることができる美食ドキュメンタリー『アラン・デュカス 宮廷のレストラン』をご紹介します。今回はさらなる裏側に迫るため、こちらの方にお話をうかがってきました。それは……。

写真・角戸菜摘(アラン・デュカス)


“フレンチの帝王” アラン・デュカスさん!


【映画、ときどき私】 vol. 192


これまでにミシュランで計18ツ星を誇る天才シェフのデュカスさんですが、本作は仕事中のみならずベールに包まれていたプライベートにも2年間にわたって密着したドキュメンタリー。


トップであり続けることの極意やヴェルサイユ宮殿初のレストランを開店させるまでの道のりで感じた思いなどについて、先月リニューアルオープンしたばかりの『ベージュ アラン・デュカス 東京』で語っていただきました。

観た方に何か影響を与えられたらうれしい


―これまではこういった企画のオファーは受けることなく、今回も1年間断り続けてきたそうですが、ジル・ドゥ・メストル監督の情熱に根負けして承諾したとうかがいしました。とはいえ、ご自身のなかでも何か心境の変化などがあったのでしょうか?


デュカスさん 私は何も変わっていませんよ。もちろん、撮影は許可しましたが、お互いに口出しも関与も一切しないというのが条件でもありました。


―では、実際にご自分の生活を客観的にご覧になってみて、どのような感想を抱きましたか?


デュカスさん ご覧いただいたものが、私の日常そのものではあるけれど、カメラというのは真実を語る恐ろしいものですよね(笑)。ただ、今回は私のために撮ってもらったわけではないので、この作品が誰の役に立つのかということは私にはよくわからないけれど、観た方に何らかの影響を与えられるのであればよいことだと思っていますよ。それは、観てくださった方々が決めることですから。

学ぶと何も知らない人間であると気づかされる


―年齢や経験を重ねると、好奇心や驚きが減っていくと感じる人もいると思いますが、デュカスさんはそのなかでもつねに好奇心旺盛でいらっしゃいます。モチベーションを維持する秘訣があれば、教えてください。


デュカスさん 秘訣というのは特に何もないですね。「学べば学ぶほど、学ぶことが増える」という言葉があるように、物事を知れば知るほど、知らないことが増えていき、最終的に自分が何も知らないということに気づかされるんです。それが自分を謙虚にしてくれているものだと思っていますよ。


―デュカスさんでさえも、何も知らないと感じことがあるのですか?


デュカスさん それはもう恐ろしいくらいにね。私は世の中のこともこの業界のことも、何も知らない人間だと感じているくらいですよ(笑)。

まだまだ叶えたい夢がたくさんある


―仕事を続けていくなかで、そういった考え方をされるようになったのでしょうか?


デュカスさん そうですね。とはいえ、私は自分をとてもエゴイストだとも思っていますよ。


―つまり、物事を突き詰めているときの自分は自己中心的だと思われているということですか?


デュカスさん その通りです。というのも、何かにこだわるというのは、まず自分を満足させることですよね? ただ、周りにたくさん人がいるなかで自分がしたいことを達成するということはものすごくエゴイストな行為とも言えます。でも、まだまだ叶えたい夢があるので、まずは自分のためにしているんですよ。


―では、次に叶えたい夢は何ですか?


デュカスさん たくさんありすぎて言えませんが、本当に私は夢だらけなんですよ(笑)。

人生は自分から勝ち取るもの


―ということは、ヴェルサイユ宮殿のレストラン『オーレ』の開店というのも、たくさんの夢のひとつだったと思いますが、その過程では苦労されたことも多かったと思います。


デュカスさん 確かに、ヴェルサイユ宮殿のなかにレストランをオープンするということは、私にとっても並大抵なことではありませんでした。


―そのなかでも一番大変だったのは、どのようなことでしたか?


デュカスさん とにかく障害しかなかったですが、人生というのは、難しくて大変なことばかりですよね。でも、そうやって壁を乗り越えて回避していくのが人生だとも思っているんです。だから、人生では待っていても何も起きません。自分から動いて、自分から勝ち取るのが人生。無償で与えられるものはありませんよ。

これまでで一番の困難とは?


―デュカスさんご自身も、これまでにさまざまな困難を乗り越えてきたからこそ、そのような考えをお持ちなのですね。


デュカスさん 私にとっては、身体的あるいは知的に自立できない状態が人生のなかでもっとも大きな障害。実際、私はある事故によってそういう経験しているからこそ、それが人間にとって本当に辛いことだというのを実体験として感じているんですよ。


その時期は社会から完全に孤立して、身体的にも自立できなくなってしまいましたが、期間も長かっただけに、社会に復帰するのがどれだけ大変なことを知っているんです。というのも、社会から離れてしまった人間には、誰も興味を示さなくなるものですからね。


―20代で経験した飛行機事故のことは劇中でも少し触れていますが、そのときのデュカスさんを支えていたものは何ですか?


デュカスさん まずは「負けた」とか「戦いが終わってしまった」と思わないこと。あとは家族や本当の友達と呼べる数人の友人たちが支えでしたよ。


―そういったすべての経験が血となり肉となり、いまのデュカスさんを作り上げているのですね。


デュカスさん その通りです。無駄なものはひとつもありません。すべては経験する価値のあるものなのです。ときには悪い体験というのもありますが、そういったものだからこそ学ぶこともあるし、苦い経験こそ豊かなものだと私は思いますよ。つまり、経験にはいいものも悪いものもありますが、それよりも「自分のなかに何が残るのか」ということが大切だということなんです。

立ち直るまでの時間は5分だけ


―悪い経験でもネガティブに受け止めず、そのなかから必要なものを自分のものにするということですか?


デュカスさん そうですね。それに、下に落ちたら、そのあとは必ず上がるしかないんですから。そのためにも、まずは負けたと絶対に認めないことですね。


―とはいえ、そんなデュカスさんでも落ち込んだりすることはあるのでしょうか?


デュカスさん 5分くらいはありますよ(笑)。


―5分だけですか(笑)? では、その時間はどのようなことを考えているのか教えてください。


デュカスさん 決断を下す時間にしていますよ。というのも、すべてが決断のときだからです。それに、選択肢はポジティブかネガティブか、その2つしかありません。だからこそ、つねにポジティブに行けるようにしなければいけないし、それは自分自身で決めること。つまり、自分で意図していいほうに進めるようにしていくものなんですよ。

決断力と恐れない気持ちが大切


―そのお言葉通り、作品のなかでは移動中でさえも決断の時間に当てている姿はとても印象的でした。


デュカスさん 私はイエスかノーかの決断がとにかく早いんです。だからこそ、間違えることも当然ありますが、何でも即決するようにしていますよ。間違いを恐れていたら何の決断も下せなくなってしまいますからね。ただ、間違いを認めることも大事なことですよ。


―決断力の早さはもともとの性格ですか?


デュカスさん これは私が仕事をするなかで、後天的に身に着いたものですね。その力を培うためには、「自分は何を知らないのだろうか」という疑問をつねに持つこと。そして、「知らないものを恐れない」ということです。


私は企業のモットーというのをリストにしていて、社員のための心得10か条というのを作っていますが、そのなかに「恐れるな」というのを入れているくらい。だから、「何事も恐れず、知らないことにも挑戦していく」というのは大切にしている考え方なんですよ。

ストレスは信頼できる人とシェアして溜め込まない


―すべてにおいて全力で向き合っているイメージですが、どのようにして息抜きをされているのでしょうか?


デュカスさん もちろん、いつもちゃんと息はしていますよ(笑)。


―(笑)。では、ストレスは溜め込まないほうですか?


デュカスさん そうですね。ストレスはスタッフ全員とシェアするようにしているんです。私には信頼できるスタッフがたくさんいますからね。

デュカスさんから見た日本とは?


―その気持ちは日本のスタッフにもきちんと伝わっていると思いますが、デュカスさんから見た日本の印象はいかがですか?


デュカスさん 終わりなき進化をしている国ですね。だからこそ、訪れるたびに予想もしなかったような新しい発見があるし、やらなければいけないことがたくさんあるんですよ。本当に素晴らしい国だと思います。


―これまで日本で影響を受けたものは何かありますか?


デュカスさん 影響を受けるというよりも、私はすべてを吸収して消化し、それが私の一部となるんです。私のハードディスクにどんどん蓄積されていくような感覚があり、それが私という人間を豊かにもしてくれているものなんですよ。

好奇心を失わず、発見を続けて欲しい


―日本の女性たちの間では、デュカスさんの提案する食に対する興味も高まっているので、最後にananweb読者に向けてメッセージをお願いします。


デュカスさん 「まずは好奇心を持ってください」と言おうかと思いましたが、日本のみなさんすでに好奇心旺盛だと思うので、「いまの好奇心を失わないでください」のほうが正しいですね。そして、発見を続けてください。偏見や先入観を持たずに心を開き、つねに新しいものを求め、個性のあるオリジナルのストーリーを探していって欲しいなと思っています。

世界を舞台に成功する秘訣に迫る!


どんなことにも探求心を持つデュカスさんとともに、世界中を旅することができる本作。美しい景色と料理に、目も心も満たされるはず。“料理界の生きるレジェンド” と呼ばれるいまなお、才能に頼ることなく努力し続けるデュカスさんの生き方から、あなたも “人生のレシピ ”を学んでみては?

豪華絢爛な予告編はこちら!

作品情報

『アラン・デュカス 宮廷のレストラン』

シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国公開中

配給:キノフィルムズ/木下グループ

ⓒ 2017 OUTSIDE FIMS - PATHÉ PRODUCTION - JOUROR FILMS - SOMECI.

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2018年10月17日 12時30分

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