AKB48の人気アレンジャーが教える! 心揺さぶる「曲作りのヒント」3つ|大人の音楽LOVER♪ #13

2018年06月10日 17時00分

ミュージック エンタメ anan

元吹奏楽っ子(担当:Euphonium)の音楽好きharakoが、大人になってから、改めて音楽の楽しみ方を見つける連載です。第13回目は、AKB48など有名ソングのアレンジを担当した実績を持つ、NINOさんに作曲やアレンジのポイントを教えていただきました。

自分の心が感じる、喜怒哀楽を見つめてみよう!


【大人の音楽LOVER♪】vol. 13


AKB48 10周年ベストアルバム『0と1の間』の「泣き言タイム」や、浅田真央さん主演ECC外語学院のテレビCM「Better together編」など、ヒット音楽を影で支えてくださっているNINOさんに直撃!


ということで、初めて作曲やアレンジに挑戦するにはどこから手をつけたら良いのか、またセンスが光るアレンジに仕上げるには、何かコツがあるのか?などを探っていきたいと思います。


NINOさん 初めまして、NINOです。私のスタイルとしては、作曲して、作詞して要望によっては歌も歌う。そして、アレンジまで仕上げてから納品。そんな、音楽がまったくゼロのところから完成までひとりで完結できることが強みだと、周りの方は仰ってくださいます。


今回のテーマ「作曲する」「アレンジする」と聞くと、どうしても敷居が高く感じますよね。いったい、何から手をつけたら良いのか? 想像がつかない方も多いのではないでしょうか。しかし、根本的なところを探っていくと、あくまでも私の場合ですが、“感情” を敏感に察知することが大切だと思っています。


CMや舞台、映画、アイドルからアニソンまで幅広くアレンジに携わらせていただきましたが、それはどんなジャンルにも言えることだと今までの経験からも思うことです。


そこで、私が普段何もないところから作曲したりアレンジしたりする時に、意識している感情を見つける3つのヒントをご紹介します。

ヒント1:自分の中にある感情


harako “感情” を大切にということでしたが、それは自分が音楽を聴いて感じる気持ちでしょうか?


NINOさん “感情”は、ざっくりわけて2つあると思います。ひとつめが、「自分の中にある感情」です。世界には、いろいろな音楽が溢れていますが、どの音楽にもいろいろな想いが詰まっていて感情を揺さぶられる力があると思います。


しかし、音楽を聴いた時の “感情” の変化は十人十色。例えば、一般的に「切ない曲」と言っても「なぜ切なくなるか」には、一人ひとりさまざまな理由がありますよね。その、“感情” と “理由” をもう少し掘り下げていくと見えてくるものがたくさんあるような気がして……。


同じ曲でも、過去に聴いていた環境や、改めてその曲を聴くタイミングが違えば感じ方は変わることもあります。“別れた彼と良く聴いてた音楽だから” とか、“仲の良かった友だちで大合唱した懐かしい曲だから” とか、個人的なシチュエーションが絡んでくるケースもありますよね。または、単純に歌詞そのものが切なくさせるのか、メロディがそうさせているのか、コード進行が切なくしている場合も。


不快になるような音楽も楽しくなる音楽も、とにかくたくさんの楽曲を聴きながら、その音楽に対する自分の “感情” をいつもより少し敏感に感じてみて欲しいです。音楽理論ももちろん大切ですが、その前に「音楽に心揺さぶられる感覚」をぜひ意識してみてくださいね。

ヒント2:世の中にある感情


NINOさん そして二つめは、「客観的な感情」です。客観的にどんなシチュエーションで “感情” を使っているのか第三者の感情に寄り添って探ることです。作曲の右も左もわからなかった頃、私がよく参考にしていたのは、「映画音楽」です。監督がこの音楽を使ったのは、どんな意図があるのか、喜怒哀楽をどう表現したらいいのかを学べる勉強材料にはぴったりだと思います。


音楽が何もないと感情移入しにくいシーンでも、音楽が流れていると急に映画の世界に入り込んだりしますよね。音楽の力は素晴らしいです。


まずは、自分の好きな映画にフォーカスして何度も繰り返し観たり聴いたりすることからスタートしてみるのも良いと思います。繰り返しているうちに、自分の中の引き出しが少しずつ増えていくと思いますよ。

ヒント3:キャッチした感情をコピーする


harako 自分の気持ちに加えて、映画音楽で客観的な “感情” を学ぶ。新しい視点で “感情” を研究できそうですね。とてもおもしろい発見です! それらの “感情” を自分なりに解釈した後は、どんなステップに入るのでしょうか?


NINOさん せっかく掘り下げて見つめた “感情” だから、実際にそれを形にしてみたいですよね。ただ、歌詞やメロディを考えるだけなら、楽器が弾けなくても、コードやコード進行がわからなくても、感覚で作れます。しかし、編曲まで自分の想い通りの形にしたいなら、自分の頭の中の音を正確に表現するために、少しは知識があったほうがいいですね。


まず、何から手を付けて良いのかわからない方は、自分の好きな楽曲をコピーすることから始めてみたら良いと思います。そして、その楽曲をとことん追求してみる。「どんなコード進行で構成されてるか」「メロディやテンポはどのくらいなのか」「どんな音色が使われているか」など……完全にコピーするくらいの勢いで探ってみると、すごく勉強になると思います。それを積み重ねていくうちに、自分の引き出しが増えて、新しい発見があったり、頭の中の音が正確に表現できるようになったり。


音楽のセンスは、今までの人生の中で、見たり聞いたり感じたり経験したことの蓄積だと思うんです。もちろん「才能」とひと言でまとめてしまう事もできるけど、それだとあまりにも夢がないなって。何の音にも影響を受けずに音楽を作るのは不可能ですし、どんな名曲を生み出した偉人でも、きっと初めは何かの模倣やコピーからのスタートだったんじゃないかと思います。


「オギャー」と生まれた赤ちゃんが、何もできないところから、誰かのまねっこをしてできる事が増えていく工程のように。あとは、それをどうやって自分色に染めてアウトプットしていくかです。


自分というフィルターを通して、“感情” に音を乗せる。それが、オリジナリティが生まれるヒントではないでしょうか。

音楽は、誰かの想いが形になっている


NINOさん 音楽の作者は、きっと誰かのために作っていると思うんです。愛する人のため、家族のため、聴いてくれる人のため、クライアントのため……。もしくは、単純に自分を満たすためだってあるかもしれない。誰かの感情に寄り添って、誰かを想って作っているから、その感情がリンクした時、その誰かの心には必ず響くのではないでしょうか。言葉を言い換えれば、「共感」とも言いますよね。


100人中100人が良いと評価してくれる音楽である必要はないですし、聴くタイミングや環境で、その楽曲の印象はいつだって変化するものです。時には、何かがぶつかったり壊れたりするような “雑音” と言われているノイズが、“感情” を揺さぶるかもしれない。


つまり、誰のために作る音楽なのかによって、表現方法は無限に広がっていきますし、一般論を大切にして作る音楽もあれば、ごく一部にしか評価されない音楽もあるけれど、結局は正解なんてないと思うんです。自分の中に蓄積されたたくさんの “感情” と客観的な “感情” が化学反応を起こし、自分にしか作れない音楽が生み出せる。そんな自由でOKなところが、音楽の素晴らしさだと私は感じています。



ーーNINOさんの音楽価値観が、とても伝わってきましたね。キーワード “感情” についてお話していただきましたが、それはあくまでも “人から生まれる感情”。音楽は人から人へ繋がっていくための “感情” を使ったツールなのだと発見することができました! 素晴らしいお話、ありがとうございました〜!


今回の音楽LOVERは……♪


〈取材協力〉

作編曲家

NINO(新野美紀子)さん



♪音楽を一言で表すと?

「自由」


ユニット・NeVeSSa(ネヴェッサ)のボーカルとして活動を始めた後、マニピュレーター、DJ、キーボーディスト等としてアーティストのLiveサポートに入り、現在は、作編曲家として活動中。CMや映画音楽、各アーティストへの楽曲提供など作曲や作詞、アレンジを通して曲に色を付けている。



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