前代未聞の有名ロケ弁!  芸能人に大人気の「チオベン」が生まれるまで

2018年04月26日 20時00分

エンタメ anan

雑誌でタレントさんの撮影をするとき、あるいはドラマなどの収録現場において、宅配弁当、通称“ロケ弁”というものが存在します。7年前、前代未聞のロケ弁が登場したと雑誌業界で話題になったのが、山本千織さんが作る〈チオベン〉。皮を2重に巻いた春巻きに、アジアの香りがする唐揚げ、紫の食材を多用した惣菜など個性的なおかず群を仕切りなく詰め込んだ〈チオベン〉の出現は、その後の弁当界を大きく変えたといわれています。

弁当を作るつもりはなかったのに、箱に詰めてみたら、意外と楽しかったんです。



――以前は札幌で飲食店をされていたと伺っています。どんな経緯で上京されたんですか?


山本さん:24歳のときに、当時結婚していた夫が小さな飲食店を始めたのがスタートです。夫が料理担当で、私がサービス担当みたいな感じで。でも、オープンして1年半くらいで夫が家出をしまして、仕方ないから私が厨房に入ることになり。


――旦那さん、家出しちゃった?!


山本さん:はい(笑)。


――ちなみにそれまで、千織さんは料理の経験は…?


山本さん:家では毎日作っていましたが、プロとしてはありませんでした。で、そのまま2年くらい続けていたんですが、私もヘトヘトになってしまい、別の方にお願いすることにして、いったん終止符を打ちました。でもそこで、札幌のいくつかのお店から「やることないなら、うちのキッチンに入らない?」みたいなお声がけをいただいて、また飮食の仕事に就いて、さらに別のお店に移って…みたいな感じで、結局そのまま飲食で働いてましたね。その中で、『エルフィンランド』という居酒屋で働いた経験が結構大きくて、今自分がやっていることの一つのルーツかな、と思います。


――それはどんなお店?


山本さん:いわゆる単館系の映画を上映する映画館の、併設の居酒屋だったんですよね。それで、上映されている映画に合わせたメニューを出す、ということをやっていて、例えば『友だちのうちはどこ?』っていう、アッバス・キアロスタミのイラン映画の上映なら、「イラン料理やんなきゃ!」みたいな。よく覚えてるのは、ウォン・カーウァイの映画のときに、点心と何かをセットにした「恋する惑星セット」や、「天使の涙カクテル」を作ったこと。それから『青いパパイヤの香り』のときにバインミーを作ったりしました。


――おそらくそれは今から20年くらい前の話で、ネットで情報を集めるのも容易ではない時代ですよね。どうやって、行ったこともない国の、食べたこともない料理を作ったんですか?


山本さん:おっしゃるとおり、食文化に対する知識はほぼないわけです。なので、めちゃくちゃ勉強しました。頼りになったのは、本。柴田書店という良い料理本をたくさん出している出版社があるのですが、そこの本や、あと平松洋子さんのアジアの食文化に関する本などをみんなで持ち寄って、手探りでメニューを決めてました。ちょっとでも映画にちなんだメニューだったらいいよ、ということだったので、ある意味何をやってもOKな環境で。モンゴル映画のときには、羊の脳みそで料理を作ったりしてましたよ(笑)。


――千織さんの自由な発想のスタート地点は、そこだった、と。


山本さん:はい。それと、食べる人を喜ばせる、という考え方も、そこで学んだものかもしれません。


――その後、妹さんが札幌で営む食堂を手伝い、’10年に上京されることになりますよね。


山本さん:はい。このまま妹と二人、札幌で店をやりながら年を取るのかな…と思っていたんですが、東京で料理屋をやらないかと誘われて、思い切って東京に出てきたんですが、その計画が頓挫して。でも、捨てる神あれば拾う神ありで、別のお店からお声がけをいただき、とある外国料理のお店で働くことに。そのお店は夜だけの営業だったので、ランチで札幌の食堂で作っていたような定食を出させてもらったんです、外国料理のお店なのに、昼に和定食っていう(笑)。でも、結構人が来てくれたんですよ。ただそのお店も別の方がシェフをやることになったので、お役御免に。そこで、向かいにあったバーの方が、「昼間、店は空いてるから、ランチでもやったら?」と場所を貸してくださったんです。でも、そこはバーだから、お皿がない。どうするか? と思っていたら、バーのマスターが「弁当箱に入れて売ればいいんじゃない?」とアドバイスをしてくれて。それを見た、前のお店のランチに来てくれたお客さんが、「お弁当だったら現場に配達してよ」と頼んでくれたのが、ロケ弁・〈チオベン〉の始まりです。


――つまり、諸事情から弁当という形になった、ということですか。


山本さん:そうそう。たまたま器が弁当箱だったから弁当になっちゃった、という感じ。私としてはワンプレートランチを作っているつもりだったんです。お皿の上にごはんがあって、その周りに仕切りもなくおかずが並んでいるような。チオベンに仕切りがないのはその名残。でもその後改めて宅配のロケ弁を始め、詰めて出荷をしてみたら、私って小さい箱に何かを詰めるのが好きだったんだなぁと気が付きまして。そういう意味では、お弁当、すごく楽しいです。実はそれまで、ほとんど弁当作ったことなかったんですけどね(笑)。


やまもと・ちおり 北海道出身。札幌での飲食店経験を経て、2011年より東京で弁当販売店『chioben』をスタート。瞬く間に人気が高まり、現在は撮影現場への仕出し、ケータリングに加え、雑誌などへのレシピ掲載などでも活躍。著書に『チオベン 見たことのない味 チオベンのお弁当』(小社刊)などが。


ごはん+おかず3品、シンプルな構造の弁当レシピを掲載した2冊目の著書『チオベンの弁当本』(KADOKAWA)が発売中。また、小誌でも月に1回、「Cooking」ページでお弁当のレシピを連載中。


※『anan』2018年4月25日号より。写真・千倉志野 撮影協力・st company


(by anan編集部)

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2018年04月26日 20時00分

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