妻夫木聡「バカなんですよね」“振り回す系”女子に惹かれる心理を解説!

2017年09月10日 22時00分

エンタメ anan

映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』で、主人公のコーロキを演じた妻夫木聡さん。映画への出演を決めた一番の理由は「自分自身が実際に“奥田民生になりたいボーイ”だったから」と言う妻夫木さんに、敬愛する奥田民生さんの魅力から、“狂わせるガール”に翻弄されてしまう男心まで、たっぷり語っていただきました。


――奥田民生さんを好きになったきっかけは何だったんですか?


妻夫木:もともとUNICORNが好きだったんですよ。でも、ソロになってからの民生さんが特に好きかなぁ。ソロデビュー曲が『愛のために』というジャパニーズロックだったんですけど、“海外のロックだけがロックじゃねぇよ。ジャパニーズロックだってこんなに心揺さぶれるもの持ってんだ!”みたいな感じで、どストレートだったんですよね。UNICORNのときはいろんなジャブを打ったりしてたはずだったんだけど、いきなり突き抜けたというか。“俺、ストレートしか打ちません”みたいなソロデビューの仕方が妙に心に響いたんです。民生さん、男だな! と思いましたね。


――実際に奥田民生さんとは、お付き合いがあるんですか?


妻夫木:5年前くらいに、「サッポロビール」のCM撮影で初めてお会いして。それ以来、何回かごはんに連れていってもらったりしてます。


――初対面は緊張しました?


妻夫木:民生さんって、オーラを出さないタイプの人なんですよ。緊張させないんですよね、人を。そこがすごく好きなんですけど。だからドキドキ感というか、ときめきみたいなものはあったかもしれないけど、緊張はなかったですね。前から知ってるんじゃないかってくらい普通に話せました。


――ズバリ、妻夫木さんが思う、奥田民生さんのかっこよさとは?


妻夫木:普通はみんな、人から好かれたいって思うじゃないですか。テレビに出るならかっこつけたいし、人気も欲しい。正直、僕らなんて売れなかったら食べていけないわけだから。そのために自分を取り繕ったり、着飾ったり、無理しちゃったりするものだけど、民生さんは適当な感じなんですよね。古着のTシャツにジーパンで、メイクも大丈夫っす、みたいなノリでテレビに出ちゃう。そのゆるさがかっこいい。その適当さがかっこよく思える空気感を民生さん自身が醸し出してるんですよ。本人はたぶん、ゆるく生きている感覚なんてまったくないと思うし、やりたいことをやっているだけだと思うんですけど。“人から支持されたい”といった欲に縛られず、自由に生きているところにスター感があるというか…。憧れちゃいますよね。自分に嘘をつかず正直に生きて、その中で醸し出される本当のかっこよさみたいなものが自分にもあったらいいな、なんて思ったりもしますし。


――妻夫木さんは奥田民生さんのように自由に生きられてますか?


妻夫木:いやぁ、無理ですね、僕は。自分に自信がないから、もともと。いつでもどんなことでも遠回りしてしまうんです。だから人一倍努力しなきゃいけないとも思います。でも、僕はきっと、この先もずっとこういう生き方なんでしょうね。それが性に合っている気がするし、自由になっちゃうとたぶん、それは過信になってしまいそうだから。


――自分にはできない生き方だからこそ、憧れるんでしょうか?


妻夫木:そういうところもあるかもしれないですよね。だって、奥田民生そのものになりたいわけではなくて、ただそういう人間になりたいだけですもん。“奥田民生になりたいボーイ”たちはみんなそうだと思います。たぶん、矢沢永吉さんのファンは矢沢永吉さん自身になりたいと思うんですよ。ファンの皆さんにとって矢沢さんはカリスマだから。でも民生さんはカリスマっていう言い方はしない気がしていて。身近だからむしろいい。


――身近だけど、一番遠い感じがしますよね。


妻夫木:そうそう。まぁ矢沢さんも、もちろん遠いんですけど。近づけるわけがないんですけど(笑)。


――ここからは少し映画のお話を。水原希子さん演じるあかりが、全シーン違う衣装で登場することが大根仁監督のこだわりだったようですが、露出度高めの“狂わせコーデ”は個人的にどうですか?


妻夫木:僕、自分の彼女がこんな格好してたら死ぬかもしれない(笑)。だって派手すぎるでしょ。どんだけ男の視線集めるつもりだよ!! ってなるでしょ。ただ見てるぶんにはいいけど、自分の恋人だったらきついなぁ。嫌だなぁ。かっこいいとかかっこ悪いとかじゃなくて、なんか心配。心配になるから嫌だ。


――では、劇中に登場する「突然手を握る」「オーバーに褒める」といった、あかりの“狂わせテク”は有効だと思いますか?


妻夫木:「突然手を握る」は、結構危ない気がするなぁ。この人、誰にでもそういうことやってんのかなって思っちゃうかもしれない。すごく芝居が上手ならともかく、意図的なことってバレると思うんだよね。やるまでにすごく勇気もいるだろうし、急にばっと握ったら「どうしたの!?」みたいな空気になるでしょ(笑)。もしやるなら、手を怪我したときに「大丈夫?」って、そっと触れるくらいのさりげなさが必要。だから手を怪我するのを待ったほうがいいですよ(笑)。「オーバーに褒める」っていうのもバランスですよね。オーバーはダメ。でも褒めるっていうのは大事。やっぱり人は誰かに認められたいんですよ。だから褒められると嬉しい。特に男は女性から認められたいと思ってますから。褒めなくても相づちを打ってあげるとか、同意してあげるってことは大事かもしれないなぁ。


――原作の渋谷直角さんは、好きな女の子にこてんぱんにフラれる経験を経て男は成長するんじゃないか、と思ってこの作品を描いたとおっしゃっていましたが、妻夫木さんはどう思われますか?


妻夫木:そうかもしれないですね。何をもって成長というのかはわからないですけど、自分を振り回すような女性にこてんぱんにフラれると、もう二度とそういう人とは付き合わないって思うものなんですよ。僕もそういう恋愛をしたことがあるし、それでフラれたこともある。その経験を経て初めて、自分にとってのいい女性像みたいなものが定まってくると思うんですよね。


――1度痛い目を見ると、次は正反対の人に惹かれるんですかね?


妻夫木:それが難しいところで、同じ過ちを繰り返してしまうのもまた男。バカなんですよね(笑)。だからさっき、何をもって成長というのかはわからないって言ったんですけど(笑)。もう二度と振り回す系の女性はやめようと思う気持ちも確かにあるんだけど、やっぱりそういう女性にこそ引き寄せられてしまうんだよねぇ…。


――なぜ、そういう女性にハマってしまうのでしょうか?


妻夫木:それは「なんで恋をするんですか?」って聞いてるのと同じことですよ。わからないです(笑)。でも、ないものねだりだと思うんですよね。例えば、好物がカレーだとしても、毎日食べてたら飽きてしまう。たまにはフレンチも食べたいし、イタリアンも食べたい。特に若いときは、自分の理想そのものを手に入れても、その瞬間は幸せに感じるけど、その気持ちは長続きしづらいと思うんです。だから毎日違うもの、違う顔を見せてくれる女性のほうが面白いって思ってしまうんじゃないですかね。


――なるほど。勉強になります。


妻夫木:でも、そういう男を翻弄するような女性の才って、天性のものだと思うんですよ。鍛えてどうにかなるものじゃない。みんな自分に自信がないから、それを補うためにテクニックを身につけようとするけど、やっぱりそれって無理があると思うんですよね。だからそんなことより、その人にはその人のよさってものが必ずあるはずだから、そこをもっと伸ばしたほうがいいと僕は思うんだけど。本当の幸せを掴みたいなら、自分に自信を持って、ありのままの自分を好きになってくれる人と出会えることを望んだほうがいい。あかりから学んだらダメですよ(笑)。


つまぶき・さとし 1980年12月13日生まれ、福岡県出身。‘98 年、ドラマ『すばらしい日々』で俳優デビュー。昨年公開の映画『怒り』で、‘17年度日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。

妻夫木聡・編集者デビュー! 『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』スピンオフ『MALET.』980円(小社刊)が好評発売中!


※『anan』2017年9月13日号より。写真・ホンマタカシ スタイリスト・SHUN WATANABE ヘア&メイク・勇見勝彦(THYMON Inc.) インタビュー、文・菅野綾子


(by anan編集部)

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