イライラの原因は腸内環境の乱れ!? 腸と脳の意外な関係…

2018年07月22日 22時00分

ビューティー anan

ストレスや喜怒哀楽、好き嫌い…。脳が感じている刺激の発信源はどこなのか? どうやらそのルートの多くは、腸からであることが明らかになってきた。脳と腸が相互に関連し合って情報をやりとりしている“脳腸相関”の仕組みに迫ります。

「脳→腸」だけでなく「腸→脳」、ふたつの臓器は情報交換している。


脳と腸はお互い関連し合って機能している。それが“脳腸相関”と呼ばれるシステム。


「脳腸相関が正常に成り立っていることで、我々は健康を保つことができます」


と言うのは、脳腸相関の専門家、東北大学教授の福土審先生。



「腸は脳からの指令がなくても自分で機能する、自立性の高い臓器。心臓などもそうですが“自動能”を持っていて、勝手に動くことができる臓器の代表格です」


その理由は動物の進化のプロセスにある。というのも、多細胞動物の原型は腸。地球上に生まれた最初の多細胞動物は、口と腸だけしか持っていなかった。たとえばクラゲ、クラゲの仲間のヒドラ、イソギンチャクなど。


「ヒドラのような口と腸だけでできている動物を腔腸動物と呼びます。その腸には、網タイツのような神経のネットワークが張り巡らされているんです。腸はものが入ってくると、それを捉えて消化するために規則的な美しい動きをします。その動きをコントロールしているのが、腸に備わっている神経ネットワークです」


体外に摘出した腸を使った実験によれば、正常な腸はぜん動運動でものを消化していくけれど、毒で神経ネットワークを麻痺させた腸では、ぜん動運動が起こらない。これも腸に“自動能”があるから。


脳からの指令がなくても勝手に動ける能力があるのなら、腸にとって脳は不必要ということ? いいえ、そんなことはありません。


「腔腸動物から魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類と進化を遂げていくごとに、腸の一部が他の臓器や脳になり、とくに脳は進化するごとにどんどん大きくなっていきました。脳は動物が生き残るための戦略として、効率よくカラダを動かして敵に勝つプログラムを作るハードウェア。腸はカラダの原型という存在。そんな“特別な関係”になったのです」



平和なときの腸は、食物をゆっくり吸収してエネルギーやカラダの材料に変換。このとき脳の助けはそれほど必要としない。ところが毒などの有害なものがカラダに入ってきた場合、話は別。胃は収縮して毒を上から出し、腸は素早いぜん動運動で毒を下から出す。こうした臓器の働きをサポートするのが、脳の役割。


「もちろん、緊急時ではないときでも、脳と腸は常に情報をやりとりしています。脳腸相関が目立つのは急な環境の変化が起きたときですが、空腹や満腹を感じたりするのも脳腸相関です」


では、脳と腸はどのような手段で情報をやりとりしているのか?最も確実なネットワークは神経。


「神経はパソコンのケーブルに当たります。確実に情報を伝える有線LANのようなものです。このうち自律神経は脳からの命令を伝える神経を指すことが多いですが、脳と腸を繋ぐ神経を調べてみると、実は7割近くが腸からの信号を脳に伝える神経だったことが分かっています」


有線に頼らないWi-Fiのようなネットワークもある。まずひとつはホルモン。とくに、ストレスに関連するホルモンは脳腸相関に関わりが深い。


「ストレス時には副腎皮質からコルチゾールというホルモンが分泌されます。コルチゾールの分泌を促す最初のホルモンがCRH。これは交感神経を刺激して心拍数や血圧も上げるホルモン。同時に胃の運動は抑制され、大腸は逆に刺激されて、ぜん動運動が促されます。これらの働きによって腹痛や下痢、便秘などが起こります。CRHは過敏性腸症候群に深く関わっているホルモンです」


Wi-Fiネットワークは他にもある。腸管に存在する免疫細胞が出す、サイトカインという化学物質。さらには腸内細菌のバランスの乱れ、腸内細菌が作る有害な物質、有益な物質が脳腸相関に影響していることも分かってきた。


「私が専門にしている過敏性腸症候群の原因のひとつは、ストレスと考えられています。消化管で起こった緊急時のイベントの情報が脳に行くと、脳の“情動”に関係する部分が活性化します。例えば扁桃体や前帯状回という部分です。これらは不安や恐怖、イライラといった情動を引き起こします。一方、乳酸菌やビフィズス菌など善玉菌を投与するプロバイオティクスで、過敏性腸症候群の症状が改善するといわれています」


ちなみに、過敏性腸症候群に伴ったうつ病もプロバイオティクスによって改善することも分かっている。うつ症状になると扁桃体が活性化しやすくなるが、腸内環境を整えることで扁桃体が沈静化し、うつ症状が軽減する報告がある。


最近のアメリカ消化器学会では、自閉症にも腸内細菌が関与しているのではないか? という報告があり、こちらもトピックに。


これまでは長らく、脳が一方的に全身に指令を出して生命活動が成り立っていると考えられてきた。ところが、健康を維持するためには、脳→腸のルートだけではなく、腸→脳へのルートが非常に重要だということが次々に分かってきている。今後もますます研究が進んでいくことは確実だ。


「脳腸相関を乱れさせる大きな原因はストレス、そして食生活です。朝食を抜くなどの欠食や、余分な間食、辛いものなど刺激物の食べすぎ、無理なダイエットなど、腸にとって負担になる食生活を避けることが最低限の条件です。その上で食物繊維を積極的に摂ったり、プロバイオティクスを摂るなど、腸にとって望ましい食生活を心がけてください」


福土 審先生 東北大学大学院医学系研究科 行動医学教授、東北大学病院心療内科科長。著書に『内臓感覚 脳と腸の不思議な関係』など。


※『anan』2018年7月25日号より。マンガ・中根ゆたか 取材、文・石飛カノ


(by anan編集部)

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